妊娠の本質は「卵が赤ちゃんになる」ことで子供ができない方は必須

皆さんは妊娠の本質ということを考えてみたことがありますか?

夫と妻が愛し合って子供ができる射精があり、排卵があり、受精がある。そして受精が成立すると、やがてそれが子宮の中で大きくなって、ある日、外の世界に誕生する

学校の理科の教科書でも保健の授業でも、受精現象がクライマックスで、あとはそのまま誕生か、せいぜい着床の段階に飛んでしまうと思います。

でも実際は、妊娠の本質というのは、「受精卵が子宮の中で赤ちゃんに育っていくこと」なのです。少なくとも私はそう考えています。

卵管の中で精子と卵子が出会い、受精卵ができると、卵は卵管上皮の繊毛の働きで、ず-つと子宮のほうに運ばれていきます。そのあいだに卵は雁盤胞というものになり、それが卵の殻(透明帯)から飛び出して、子宮内膜の中に潜り込んでいきます。

この着床が成立した段階が〃妊娠″です。

卵子と精子が出会って受精すれば、あとは自然と胎児として育つものと考える人がたくさんいます。でもそれはとんでもない間違いです。

卵子と精子がちゃんと出会ってもなぜか受精しないことは珍しくありませんし、また精子が卵子の中に入っても、細胞分割しないで終わることもあります。

細胞分割しても、途中で成長が止まれば終わりです.順調に細胞分割しても子宮に着床しないこともあります。

そして〃不妊″といわれる人は、実はこの過程がうまくいかないケースが多いのです。こういうことは、1978年に体外受精が始まって、〃人間の卵″が細胞分割していく様子を顕微鏡で見ることができるようになって、だんだん明らかになってきました。

妊娠に関する世界は、全体に解明されていないところが大変多いのですが、中でも特に、「受精←細胞分割←移動←僻化←着床」という本質部分は、現代の医学でもまだよく分かっていません。

なぜ受精しないのかとか、なぜ細胞分割しないのかとか、なぜ細胞分割が途中で止まるのかとか、それらは「たぶんではないか」という推測はあっても、ほとんど解明されていないのです

でもその部分が妊娠の最も核になっているのだということを、まず理解してください。

妊娠に伴う卵巣について

その核を動かしているのは、みなさんのお腹の中にある〃卵″です。

皆さんが赤ちゃんが持てるかどうか、妊娠できるかどうかは、私でも他の医者でも現代医学でもなく、たいていの場合、最終的にはみなさんのお腹の中にある卵にかかっています。

私は顕微授精という、現代の生殖医学では最先端にいる分野で、毎日たくさんの患者さんと接し、毎日たくさんの卵を見ています。

そしてクリニックでは、毎月約知人が妊娠しています。

でも別にこのサイトで体外受精や顕微授精を勧めるわけではありません。

ただ、毎日、受精卵ができる様子や、受精後の細胞分割の様子を見ていると、そういう人間でないと分からないことが、山のようにあります。

その卵の様子は、ぜひお知らせしなければと思います。

意外に思われるかもしれませんが、みなさんの卵や細胞分割の様子を見ている医師は、決して多くはありません。実際に卯を見ているのは医師ではなく、エンブリオロジストという技師たちだからです。

ですから医師の口から卵の情報が伝えられることはあまりありません。

だから皆さんも卵について知りません。その知識はぜひお伝えしたいし、知っておいたほうが絶対にいいはずです。

皆さんのお腹にある卵について、ぜひ知ってもらいたいです。

ほとんどのことがクリアできるはず

山に登るのに、リュックを背負って一歩一歩自分の足で登るか、ロープウェイなどで一気に頂上まで行くか。これは目的によって違います。

登山の楽しみは前者にあるでしょう。でも山登りの好きな人でも、午後になって確実に天気が崩れることが予想できる場合は、ロープウェイなどを利用して急いで頂上に向かってしまうでしょう。

不妊治療も、ちょっとそれと似たところがあります。

結果を優先するか、プロセスを大切にしたいかは、不妊治療でも皆さん思案のしどころです。結果重視で迷わず私のところに来る方もいれば、迷いに迷って決断する方もいます。

私はもっぱら結果重視派ですが、プロセスを重視する方の気持ちは分かります。

でもプロセス優先の方でも、本質は一応押さえておいたほうが、「やっぱり結果がほしい」と思ったときに、手遅れにならずにすみます。

先ほどの登山の職えでいえば、今後の天候がどのように変わっていくのか、それを知っておくだけでも違います。

それが大事なことを押さえておく、ということです。

不妊や妊娠初期で悩んでいる方へ

世の中には不妊に関する本がたくさん出ています。精度の高い解説書も出ているし、検査や治療法の紹介もたくさん出ています。雑誌からの情報もあふれています。インターネットからも山のように情報が手に入ります。

けれども私には、たくさんの方が、その情報の森でかえって道に迷い、さまよっているように見えます。

本当に大事なのは、むしろ情報の整理ではないでしょうか。本書では、皆さんが切実に求めている情報の交通整理をさせていただきたいと思っております。

本質を知れば、早く目的地に着ける

なぜさまようのか。

それは本質を見失っているからではないでしょうか。ものごとには何でも本質というものがあります。受験勉強でも就職試験でも、仕事でも人間関係でも子育てでも、ものごとの本質を押さえている人は、たいていは何とかうまくいきます。

ビジネスでも人生でも、ハッピーに過ごすことができます。少なくとも取り返しのつかない過ちは犯しません。

不妊治療も同じです。妊娠の本質さえ押さえていれば、多少周り道をしても最終的に目的の電車に乗ることはできます.また自分が望めばより早く目的地に着くこともできます。

現在、「結婚適齢期」や「高年初産」という言葉は「死語」になっていますが、実は妊娠には「妊娠適齢期」があります。

女性のライフスタイルや人生設計が変わり、「結婚適齢期」がなくなっても、「妊娠適齢期」や「分娩適齢期」にはまったく変化がありません。

その厳しいともいえる事実に基づいて、本書では、私が〃妊娠の本質″と考えていることを述べていきます。
そしてその本質の核を握るものについて知っていただきたいと思います。